大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成3年(行コ)70号 判決

東京都中野区松が丘一丁目二二番二〇号

控訴人

伊藤良彦

東京都千代田区九段南一丁目一番一五号

被控訴人

東京国税不服審判所長 風祭光

東京都中野区中野西四丁目九番一五号

被控訴人

中野税務署長 成瀬三義

右被控訴人両名指定代理人

佐藤鉄雄

仲田光雄

右被控訴人東京国税不服審判所長指定代理人

河村秀尾

上田幸穂

右被控訴人中野税務署長指定代理人

清水定穂

竹下徹

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一  原判決を取り消す。

二  控訴人の昭和六三年分の所得税につき被控訴人中野税務署長が平成元年一〇月三一日付けでした更正及び国税不服審判所が右更正に対する審査請求につき平成二年一〇月二六日付けでした裁決のうち控訴人の確定申告額を超える部分をいずれも取り消す。

第二事案の概要

一  本件事案の概要は、原判決三枚目裏八行目の「負担すべきものであるが、」の次に「控訴人と同大学間に履修単位の認定に起因する紛争が存在し、」を加え、同四枚目表二行目の「特定支出として、」を「給与所得者の特定支出の控除に関する特例を適用して」に改めるほか、原判決の事実及び理由中の「第二 事案の概要」(原判決二枚目表一行目から同四枚目表三行目まで)に記載されたとおりであるから、これを引用する。

二  証拠関係は、訴訟記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第三争点に対する判断

一  本件は、控訴人が昭和六二年四月と昭和六三年七、八月に海外で開催された会議参加費用を学校法人城西大学において支弁をしないことを理由に昭和六三年分の所得税について収入金額から右費用分を控除して確定申告したのに対し、被控訴人税務署長がした右費用分の控除を否認する旨の更正及び国税不服審判所がした右更正に対する審査請求を棄却する旨の裁決の取消しを求めるものであるが、当裁判所も、本件更正に違法な点はなく、本件裁決につき取消しを求める訴えは被告とすべき者を誤ったものであると判断する。右各争点に対する判断は、原判決四枚目裏八行目の「所得税二八条三項」の次に「(平成元年法律第六八号による改正前のもの)」を加えるほか、原判決の事実及び理由中の「第三 争点に対する判断」(原判決四枚目表五行目から同五枚目表七行目まで)に記載されたとおりであるから、これを引用する。

なお、本件控訴状には、当事者の表示として「被控訴人(被告)国税不服審判所長」と記載され、控訴の趣旨中にも「被告国税不服審判所長」の記載があるが、本件控訴が被告東京国税不服審判所長とする訴え却下の原判決に対する上級審への不服申立であることに鑑み、本件控訴は被控訴人東京国税不服審判所長に対する控訴として判決する。

二  よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大石忠生 裁判官 渡邊温 裁判官 犬飼眞二)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例